AIの嘘で信頼を失わない。出張職人の僕がNotebookLMで”事実ベースの提案”を作るリサーチ安全管理術

2024年の春先、僕は施主さんのリビングで、自分の顔がじわっと熱くなるのを感じていました。

持参した提案資料には、ChatGPTに「○○メーカーの最新エコキュート、機能の違いをまとめて」と聞いて作ったきれいな比較表。
ところが施主さんがスマホでメーカーサイトを開いた瞬間、表に並んだ型番のうち2つが、すでに数年前に廃番になったモデルだったことが分かったんです。

「これ、今もう買えないやつですよね?」

住設業界に14年いて、年100泊以上出張して、現場で何百件と提案してきた人間が、AIの吐いた古い情報をそのまま信じて施主の前で恥をかいた。
これが、僕がリサーチのやり方を根本から変えた事件です。この記事は「NotebookLMの使い方ガイド」ではなく、その事件のあとに僕がどう運用を組み直したかの記録です。

営業の信頼は、提案の華やかさではなく「事実の精度」で積み上がる。AIで作業を速くするほど、ここのリスクは跳ね上がります。

JET(住設業界14年・外勤営業)
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ChatGPT丸投げで起きた「廃番品が混じった提案書」事件

正直、最初は便利すぎて使い倒していました。
移動の新幹線で「給湯器の停電対応機能、メーカー別の違いをまとめて」とChatGPTに投げれば、5秒できれいな箇条書きが返ってくる。出張続きで自社カタログを開く時間が惜しかった僕にとっては救世主に見えました。

事件当日のことは、いまでも細かいところまで覚えています。
築15年の戸建てのリフォーム相談で、奥様と旦那様が並んで僕の比較表を見ている。僕は得意げに「このモデルは停電時もタンクのお湯が使えますし、こちらは凍結予防の制御が強化されていて……」と説明していました。すると旦那様がふっとスマホでメーカー公式を開いて、画面を僕に見せてきた。
「これ、もう生産終了って書いてあるんですけど」。

頭の中が真っ白になりました。
冷や汗をかきながらその場で謝り、「いま現行品で組み直してきます」と言ってカバンに資料を仕舞った、あの数秒間の重さは、いま思い出しても胃が痛い。施主さんの顔には、怒りより先に「えっ、プロのほうが現行品を知らないの?」という戸惑いがありました。あれが一番こたえました。

でも、いま振り返れば致命的な勘違いをしていました。

  • AIは「今この瞬間のメーカー公式情報」を見ているわけではない
  • 学習データの中の「過去のどこか」から、それらしく組み立てているだけ
  • しかも口調が自信満々なので、現場の人間ほど信じてしまう
  • 業界知識がある人間ほど「これは正しいはずだ」と無意識にバイアスをかけてしまう

住設の世界では、型番が1文字違うだけで施工方法も価格も変わります。
廃番モデルを「現行品」として提案するというのは、お客様の家の10年を、ありもしないスペックで語ったということです。これは「ちょっとした間違い」では済みません。万が一そのまま発注書まで進んでいたら、納期トラブル、追加見積、現場の段取り直し、すべての責任は営業に降ってきます。

この一件で、僕の中で1つのルールが立ちました。
「メーカー公式のPDFや仕様書を読んでいないAIの回答は、現場で出さない」。
ここから、リサーチに使うAIを根本的に選び直すことになります。

「便利なAI」ではなく「事実しか喋らないAI」を探した結果、NotebookLMだった

そこからは、提案リサーチに使うAIに求める条件を、自分の中で整理し直しました。

  • こちらが渡した資料の中だけで答えてほしい(勝手に外から知識を持ってこないでほしい)
  • どの記述が、どのページのどの部分から来たのか、必ず出典で示してほしい
  • 分からないときは「ここには書かれていません」と正直に言ってほしい
  • 機密寄りの自社見積資料を放り込んでも、過剰に学習されない使い方ができること
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