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「11月のうちに契約すれば、12月の値上げには間に合う」。トイレリフォームの値上げを前に、そう考えている方は多いと思います。でも、そうならないことがあります。
TOTOの価格改定は「2026年12月1日受注分より」です。受注は注文を受ける側の言葉なので、施主が契約書にサインした日がそのまま基準になるとは限りません。
だから契約の前に、見積書で有効期限と発注時期を確かめておく。この記事では、見積書に書いてもらう3点と、急がない人の比べ方をまとめました。
私は住宅設備の業界に14年います。「受注」はメーカー側の用語で、施主が受け取る見積書や契約書には、あまり出てきません。業界の外からは、どの日付のことか分かりにくい言葉です。
先にお断りしておくと、年内に急いで決めることを勧める記事ではありません。急がない人に向けた話も、後半に書きます。
この記事の要点
- 基準は「受注」の日。施主の契約日とずれることがある
- 見積書に「いつの発注まで有効か」「改定をまたいだときの差額の扱い」「品番(末尾の記号まで)」を書いてもらう
- 年内に替える理由がなければ、改定後に2〜3社を並べ直してよい
価格改定は「受注分から」。どの日付が基準になるのか
結論から言うと、改定の基準は「受注」の日です。受注は注文を受ける側の言葉なので、メーカーが注文を受けた日と読むのが自然です。ただ、どの時点を受注と数えるかは公表されていません。施主の契約日や工事日が、そのまま基準になるとは限りません。
トイレ1台が家に付くまで、注文はこう流れます。
施主 → 工事店(リフォーム会社・工務店など) → 販売店・問屋 → メーカー
施主から見えるのは、工事店と契約した日と、工事の日だけ。その間に、工事店が発注する日と、メーカーが受注する日が挟まっています。
たとえば11月に契約して、工事が年明けになったとします。工事店の段取りによっては、発注が12月に入ってからになるかもしれません。工事店の発注から、メーカーの受注まで日がずれることもあります。
このずれの扱いは、販売店や工事店によって違うことがあります。施主の側からは、「いつ発注されるのか」を聞いておくのがいちばん確かです。
混同しやすい点がもう一つあります。施主が払う金額を決めるのは、工事店との契約です。希望小売価格が平均13%上がる衛生陶器でも、見積もりの総額が同じ率で上がるとは限りません。工事費は、メーカーの価格改定とは別のものだからです。
日付は施主からは見えません。見えないものは、見積書に書いてもらう。次の3点です。

見積書に書いてもらう3点
改定をまたぐ時期の見積もりは、口約束では守れません。発注の日付が少しずれただけで、前提が崩れるからです。
①「いつの発注まで有効か」を書面で
見積書の有効期限が「発行日から○日」という書き方なら、改定をまたぐ時期はそれだけでは足りません。聞くのはこの一言。
「この金額は、メーカーへの発注がいつまでなら有効ですか。見積書の備考に書いてもらえますか」
口頭の「年内なら大丈夫ですよ」は、工事日が延びて発注がずれたときに効かなくなります。担当の方に悪気がなくても、です。
②改定をまたいだときの差額の扱い
発注が12月1日以降にずれたら、金額はどうなるのか。契約したときの金額のままか、改定後の価格に直すのか。答えは工事店によって違います。
どちらが正しい、という話ではありません。契約の前に聞いて、見積書か契約書に書いておく。それだけで、あとから「言った・言わない」になりません。
③品番を末尾の記号まで揃える
同じシリーズでも、便座の機能や色で品番の末尾が変わり、値段も変わります。末尾の記号が色を表しているメーカーもあります。
2社の見積もりで末尾が違えば、同じ商品を比べたことになりません。改定の前と後で比べ直すときも同じです。タンクの有無など、どのタイプを選ぶかは、トイレの選び方の記事にまとめています。

3点がそろった見積書なら、改定の前でも後でも、同じ条件で2社目と並べられるはずです。
すでに1社から見積もりをもらっている人も、同じ品番で並べ直す使い方ができます。
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実例:TOTO(2026年12月1日受注分から・7月31日発表)
TOTOは2026年7月31日、12月1日受注分から住宅設備機器の希望小売価格を改定すると発表しました。理由は、原材料価格の高騰をはじめとする「外部調達コストの上昇」です。
| 対象商品 | 平均改定率 |
|---|---|
| 衛生陶器 | 13% |
| システムトイレ | 9% |
| ウォシュレット(一体形便器・シートタイプ) | 10% |
| 水栓金具 | 8% |
| ユニットバス・システムバス | 8% |
| 洗面化粧台 | 9% |
| その他商品 | 9% |
希望小売価格の改定で、支払額が同じ率で上がるとは限りません。
トイレの工事で関わりそうなのは、表の上の3行です。一体形便器は、表の「ウォシュレット(一体形便器・シートタイプ)」の行に入っています。
組み合わせ便器がどの行に当たるかは、発表文には書かれていません。名前から読むと便器は衛生陶器、便座はシートタイプに当たりそうです。実際の率は見積もりで確かめてください。
洗面化粧台は9%、ユニットバス・システムバスは8%の対象です。浴室も同じ時期に考えているなら、ユニットバスの選び方もあわせてどうぞ。
LIXILは2026年8月3日受注分から順次改定(5月18日発表)
LIXILは2026年5月18日、水まわり商品の一部について、メーカー希望小売価格を8月3日受注分から順次改定すると発表しました。LIXILで検討している人にとっては、改定はもう始まっている話です。
この記事では、メーカー同士の改定率は比べません。検討しているメーカーの最新の発表は、各社の公式サイトで確かめてください。
関連:販売会社の統合(2027年4月1日予定・9月30日発表)
TOTOは2026年9月30日、国内の販売グループ会社8社を1社に統合すると発表しました。TOTOエムテックを引き継ぎ会社にして、商号を「TOTOアクアマーケティング」に変える予定です。統合は2027年4月1日の予定で、新会社の本店は東京都新宿区です。
発表文が挙げる目的は「お客様価値の最大化および生産性の向上」です。背景として、新築住宅着工戸数が減るなかで「成長性のあるリモデル(住宅・パブリック)に注力してきました」と書いています。
外部調達コストの高騰などを要因とした「営業利益率の漸減傾向が継続」していることや、地域や建物用途ごとの「需要の多様化・偏在化」にも触れています。
発表文によると、新会社の事業内容は「住宅設備機器の販売」です。9月30日の発表文には、ショールームや修理の窓口が変わるという記載はありません(2026年10月時点)。
統合の前でも後でも、見積書で確かめる3点は同じです。

急がない人は、改定後に並べ直してよい
ここまで読んで、「11月中に決めないと」と焦った方もいるかもしれません。でも、全員が急ぐ必要はありません。
期限を意識して動くと、1社目の見積もりを待つうちに月末が来て、2社目を頼む時間がなくなることがあります。比べる時間を削ってまで急ぐのは、順番が逆です。
10年以上使う設備では、改定の前に買うことより、家に合う品番を選ぶことのほうが差が大きい。私はそう考えています。便座の機能を盛りすぎた、手洗いの位置が使いにくかった。選び方のずれは、毎日のことなので効いてきます。
急ぐかどうかは、次の順で考えると迷いにくくなります。
- 年内に替える理由がある(調子が悪い、引っ越しや家族の予定が決まっている)→ 見積書に3点を書いてもらい、発注時期を確かめて進める
- 急ぐ理由はないが、見積もりはもう手元にある → 有効期限を確かめる。間に合わなければ、改定後の価格で出し直してもらう
- 急ぐ理由がなく、見積もりもまだ → 改定後の価格で、品番をそろえて2〜3社を並べる
キッチン向けの記事ですが、キッチンリフォームの見積書の見方の考え方は、トイレや洗面台の見積書にも使えます。

洗面台は、ショールームで実物を確かめる
洗面台を一緒に替えるなら、見積もりを取る前に一度、実物を見ておくと品番が決めやすくなります。見るのは、カウンターの高さと、引き出しに何が入るか。予約の取り方や当日の回り方は、ショールームの回り方にまとめました。
予約は、各社のページから取れます。
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よくある質問
Q1. 11月に契約して、工事が12月になったら、値上げ後の価格になりますか。
一律には言えません。改定の基準は「受注」の日です。どの時点で数えるか、ずれをどう扱うかは、工事店や販売店で違うことがあります。契約の前に「メーカーへの発注はいつになりますか」「改定後になったら金額はどうなりますか」と聞いて、見積書に書いてもらってください。
Q2. 見積もりの有効期限が切れたら、取り直しですか。
期限が切れた金額は、そのままでは使えないと考えておくのが安全です。同じ工事店に同じ品番で出し直してもらえば、打ち合わせを最初からやり直さずに済むことが多いと思います。出し直しが改定をまたぐときは、どちらの価格で出したのかを確かめてください。
Q3. 改定後に、もう一度相見積もりを取る意味はありますか。
あると私は考えています。改定率は希望小売価格の平均で、工事店ごとの見積もりの総額がそろって同じ率で動くとは決まっていません。改定後の価格で品番をそろえて並べれば、工事費や保証の差も見えてきます。
まとめ
改定をまたぐ見積もりで迷ったら、この3つに戻ってください。
- 基準は「受注」の日。施主の契約日とずれることがある
- 有効期限と発注時期は書面で。差額の扱いと、品番の末尾もあわせて書いてもらう
- 急がないなら、改定後に並べ直す。比べる時間を削ってまで急がない
すでに1社から見積もりをもらっている人も、同じ品番で並べ直す使い方ができます。
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トイレのタイプごとの向き不向きは、トイレの選び方の記事にまとめています。
出典
- TOTO ニュースリリース「住宅設備機器商品の希望小売価格改定〜2026年12月1日受注分より〜」(2026年7月31日)
- TOTO ニュースリリース「国内の販売グループ会社8社を1社に統合」(2026年9月30日)
- LIXIL「建材・設備機器のメーカー希望小売価格の一部改定について」(2026年5月18日)
※本記事は2026年10月時点の公開情報をもとにした個人の見解です。実際の見積もりや発注の基準は、契約先の工事店やメーカー公式の最新情報でご確認ください。


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